女王蜂「売春」- せめて共犯者でいよう
女王蜂(じょおうばち)は、日本の4人組ロックバンド。2009年に兵庫県神戸市で結成され、2011年にデビュー。
メンバーは全員本名はおろか、生年、性別、国籍などもすべて未公表であるが、2011年に書かれた一部記事では「まだ10代という噂もある」との記載がある[3]。また楽曲のみならず、プロモーションビデオの制作(一部職務を除きコンテ切りまで全て)や写真撮影時のメイク、スタイリングも全てメンバー本人が行っており、アクセサリーまで自作している[4]。
Wikipedia - 女王蜂(バンド)『ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典』
更新日時:最終更新 2017年11月26日 (日) 03:06
URL: http://ja.wikipedia.org
ここ最近で一番衝撃を受けた曲がこの、女王蜂「売春」。
女王蜂は映画「モテキ」で知った方も多いんじゃないでしょうか。劇中で「デスコ」が流れていて、僕もそこから調べて初めて知りました。そのメロディセンスやら歌唱方法に至るまで全てが衝撃的でした。受けつけない人はそれでもいい、ついてくるやつだけ着いてこい、と背中で語るようなエッジの聞いたバンド、当時はそう言う印象でした。
そんな女王蜂が2015月にリリースした4thアルバム『奇麗』、そこに収録されていた『売春』というこの曲。らしくない。ボーカル、アヴちゃんが歌うそのメロディラインは少し切なく、儚さすら感じる。こんなの女王蜂じゃない、と思い込み最初はイントロから少し聞いて、聞くのを止めてしまう。
そこからはや2年の月日が経ち、ひょんなことからスピーカーから流れてきたのはこの「売春」。衝撃が走った。どうして当時は、この儚さの向こう側にある物語が理解できなかったのだろうか。
青春の1ページに ひとつ垂らした汚点
脱色剤撒き散らして 穴だらけにした教則本
簡単な道理だけで 出来ていた僕が余計
算段の狂いに気がついた頃 きみがもう僕の部屋へ
2人の物語。テーマは「売春」である。この不可侵領域に強引に入っていく物語が始まる。女性役と男性役の声に乗って耳に入ってくる。歌っているのはどちらもボーカルのアヴちゃん。よく1人で感情を使い分けられるなと驚嘆するが、これが彼(彼女なのか?)たる所以だろう。心に染み付くメロディーが歌詞の表現力を一層高めていく。
あたしが売る春 僕が奪う春
一枚薄紙を捲れば湿った肌色に傷がつく
あなたが被害者 きみは支配者に
せめて後ろめたさだけは残さないでおこう
「売春」という言葉の暴力的な表現を前にして、人々はどう向き合えるか。
男と女
売る春と奪う春
被害者と支配者
留守電に残る声に愛着なんて覚えないで
心配性なその指輪に 傷一つ付けず抱かれるから
安心感振りかざして 受容だなんて言えないこと
生きてきたから判るよ 傷まみれ、でもまだ付けよう
物語の途中から「情」と言う概念が生まれるが、「売春」の上で嬢は不必要である。
だがその「情」が、二人を「割り切れない関係」に変えてしまった。「売春」から始まってしまったこの関係は、「歪」だ。だからこそ、この二人は苦しむことになる。
あたしが売る春 僕が奪う春
思い出なんかにしたりしないで
せめて 共犯者でいよう
苦しんだ2人が最後に出した結論。対等からは程遠い距離にいる2人に生まれた「情」に罪はない。だがその願いは未来永劫交わることのないのは、お互い承知の上である。
せめて 共犯者でいよう。
嗚呼、なって健気で儚いのだろう。消え行く美しさ、叶わないからこそ美しい。世とはこうも残酷なのだ。5:20に込められた思いは、信じ難く重い。